0.はじめに
外国人介護人材の採用を検討し始めたとき、最初にぶつかる壁がこの問いではないでしょうか。
「特定技能と技能実習、うちの施設にはどちらが合っているのか?」
どちらも外国人が介護現場で就労できる制度ですが、採用までの期間、転職リスク、夜勤への投入可否など、施設の運営に直結する違いがいくつもあります。
制度の説明だけ読んでも、自施設への当てはめ方がわからなければ判断には至りません。
この記事では、2つの制度の基本的な違いを比較表でまとめたうえで、「3問の診断チェックリスト」を使って自施設に向いている制度を確認できるようにしています。
はじめて外国人介護人材の採用を検討する施設長・人事担当者の方に、できるだけ実務的な情報をお伝えします。
▸ 当社が2024年10月に実施した介護施設向けアンケート調査(N=1,143)では、外国人介護人材の受け入れを検討した際の課題として「在留資格の区別がわからない」と答えた施設が10.9%ありました。まず2つの制度の違いを正確に理解することが、最適な採用ルートを選ぶ第一歩です。
▸ 出典:介護施設向けアンケート調査(当社実施・2024年10月・N=1,143 / 複数回答) 調査対象:介護・医療施設勤務者
1.特定技能と技能実習の基本的な違い
まずは制度の全体像を整理します。
特定技能と技能実習は、名称こそ似ていますが、制度の目的・設計・施設側への影響が大きく異なります。
在留期間と継続雇用のしやすさ
技能実習は、外国人が日本の技術・技能を習得して母国に持ち帰ることを目的とした制度です。
在留期間は1号(1年)・2号(計3年)・3号(計5年、優良企業限定)と区分されており、一般的には3年間の実習が主流です。
特定技能1号(介護)は、即戦力の外国人材を受け入れることを目的とした制度で、在留期間は最長5年(通算)です。
なお、介護分野には特定技能2号が設けられていないため(2026年5月時点)、5年を超えて就労を継続するには、介護福祉士の資格を取得して在留資格「介護」へ移行する必要があります。
技能実習3年 + 特定技能5年 = 最長8年の継続雇用という設計が、近年注目を集めています。
この点は後述の「一貫パイプライン」のセクションで詳しく解説します。
就労開始後すぐに戦力になれるか
夜勤への投入タイミングや人員配置基準への算入可否は、実際の現場運営に直結します。
以前は、技能実習生について「配属後6ヶ月間は人員配置基準に算入できない」と整理されることが一般的でしたが、2024年度介護報酬改定では、就労開始から6ヶ月未満であっても、日本語能力・ケアの習熟度・指導体制・安全体制などを踏まえて、事業者が算入を判断できる場合があるとされています。
一方、特定技能1号(介護)は、制度上は就労開始と同時に人員配置基準上の職員として扱われます。
ただし、実際に夜勤や単独業務へ入れるかは、本人の日本語力・介護経験・施設側の教育体制や安全体制に応じて判断する必要があります。
人手不足が深刻な施設にとっては、制度上の扱いだけでなく、現場でどの時点から戦力化できるかを確認することが重要です。
途中退職のリスクをどう考えるか
技能実習は、原則として転籍(途中退職)ができません。
実習生が施設を離れることは制度上の制約として機能するため、施設側から見ると「採用した人材が在籍し続けてくれる」安心感があります。
特定技能1号は、同一分野・同等業務の範囲内であれば転職が自由です。
特に都市部の施設では、より条件の良い職場への転職が起きる可能性があります。
転職時には在留資格の変更審査(1〜3ヶ月程度)が必要で、その期間は就労できません。
また、転職先の事業所が介護分野特定技能協議会に事業所単位で登録済みであることが条件となります。
比較表
| 比較項目 | 技能実習 | 特定技能1号(介護) |
| 在留期間 | 最長3年(3号は5年、優良限定) | 最長5年(通算) |
| 採用リードタイム(海外招聘) | 約6〜12ヶ月 | 約3〜6ヶ月 |
| 採用リードタイム(国内在住者) | 該当なし | 約1〜2ヶ月 |
| 夜勤 | 段階的に判断(本人の習熟度・施設の指導体制に応じる) | 比較的早期に組み込みやすいが、本人の習熟度・施設の安全体制に応じる |
| 人員配置基準への算入 | 6ヶ月未満でも条件により算入できる場合あり | 就労開始と同時に算入対象 |
| 転職・転籍 | 原則不可 | 原則自由(同一分野内) |
| 訪問介護 | 2025年4月1日から条件付き可 | 2025年4月21日から条件付き可 |
| 家族帯同 | 不可 | 不可(介護分野は2号なし) |
※訪問介護等の訪問系サービスについては、介護職員初任者研修課程等の修了、介護事業所等での実務経験、研修、一定期間の同行、本人への説明・意向確認、相談窓口、ICT等を活用した緊急時対応体制など、複数の条件があります。
制度の詳細は、厚生労働省「外国人介護人材の訪問系サービスへの従事について」 (https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_56271.html)、厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」 (https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_000117702.html)、出入国在留管理庁「在留資格『特定技能』」 (https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/specifiedskilledworker.html)等の公式情報を確認してください。
本記事は2026年5月時点の公開情報に基づきますが、個別の施設種別・受け入れ体制によって扱いが異なる場合があります。
2.【3問診断】あなたの施設はどちらが向いているか
比較表を見ても「うちはどちらか」が判断しにくい場合は、以下の3問で確認してみてください。各質問でA・Bを選んでいただくと、最後に診断結果が出ます。
Q1. 採用まで何ヶ月待てますか?
A. 3〜6ヶ月以内には現場に入ってほしい
今すぐ人手が必要、あるいは直近の採用計画に空白がある状況です。
B. 6〜12ヶ月のリードタイムでも問題ない
長期採用計画の中で外国人材を検討しており、採用時期は多少先でもよい状況です。
解説:技能実習は海外で候補者を選考・研修してから入国するため、面接から配属まで6〜12ヶ月かかるのが一般的です。
特定技能は国内在住者であれば1〜2ヶ月、海外からでも3〜6ヶ月が目安です(審査期間を含む)。
Q2. 途中退職のリスクをどう管理しますか?
A. 転職リスクがあっても即戦力を優先したい
採用後のマッチングと定着支援で対応できる、あるいは複数名採用でリスク分散できる状況です。
B. 途中退職のリスクを最小化したい
採用コストをかけた人材が短期間で離職することを強く避けたい状況です。
解説:特定技能は制度上、転職が自由です。千葉・関東圏の施設でも、より待遇の良い都市部の施設への転職が起きる可能性はゼロではありません。
一方、技能実習は制度上の転籍制限があるため、施設側には人材確保の安定性があります。
Q3. 早期に人員配置・夜勤へ組み込みたいですか?
A. できるだけ早く人員配置・夜勤体制に組み込みたい
シフト上の穴を外国人材で補いたい、夜勤体制に早期から組み込む必要がある状況です。
B. 段階的な育成を優先したい
日本語・介護技術の定着を優先し、段階的に業務を広げていく方針の施設です。
解説:特定技能は、制度上は就労開始と同時に人員配置基準上の職員として扱われます。
技能実習も、2024年度介護報酬改定後は、6ヶ月未満でも施設側が日本語能力・習熟度・指導体制等を踏まえて算入を判断できる場合があります。
ただし、夜勤や単独業務への投入は制度上の可否だけでなく、安全体制・教育体制・本人の習熟度を見て判断する必要があります。
診断結果チャート

Q1 Q2 Q3 → 診断結果
A - - → 特定技能(FUJI CARE)が有力
B B B → 技能実習(FUJI Human Care)が有力
B A A → 特定技能を軸に、定着支援の厚さも確認
B B A → 技能実習から特定技能へ切り替える一貫パイプラインも検討
A A A → 特定技能(国内在住者採用)が最短ルート
Aが多い場合は特定技能、Bが多い場合は技能実習が出発点として向いています。
ただし、夜勤・人員配置への組み込みは制度だけでなく、施設側の教育体制・安全体制・本人の習熟度に左右されます。
「技能実習から始めて特定技能へ移行させたい」という施設には、後述の一貫パイプラインが参考になります。
3.診断結果:特定技能(FUJI CARE)が向いている施設
こんな施設に向いています
- 欠員が出ており、3〜6ヶ月以内に現場に入れる人材を探している
- 夜勤体制に空白があり、早期に戦力化できる人材を探している
- 転職リスクより即戦力性を優先したい
- 国内に在留している外国人材を採用したい
特定技能の採用で気をつけること
特定技能で採用する際には、「登録支援機関」への委託が事実上の必須要件に近い手続きです。
受け入れ機関(施設)自身がすべての支援義務を果たすこともできますが、実務的にはかなりの工数がかかります。
登録支援機関には、生活オリエンテーションの実施、住居確保支援、日本語学習機会の提供、行政手続きの補助など、義務的支援10項目すべての実施が義務付けられています。
FUJI CAREでは、特定技能介護の人材紹介・登録支援に注力しており、インドネシア人材(N3以上)の紹介から入国後の生活立ち上げ支援まで一括で対応しています。
登録支援プランはベーシック(月額25,000円)・スタンダード(月額35,000円)・プレミアム(月額45,000円)の3段階から選べます。
銀行口座の開設、市役所での手続き、買い物への同行など、外国人材が日本での生活を安定させるうえで必要なサポートも含まれており、施設側の負担を大幅に軽減します。
また、2025年4月21日以降、一定条件のもとで特定技能外国人の訪問系サービス従事も認められているため、訪問介護を含む受け入れを検討する場合は、研修・同行・相談窓口・緊急時対応体制などの条件を事前に確認することが重要です。
特定技能介護の採用・登録支援について詳しく知りたい方は、お気軽にご相談ください。
[FUJI CARE お問い合わせ・ご相談はこちら](https://fuji-careworks.jp/contact)
迷う場合は、採用時期・夜勤体制・定着リスクを整理して相談を
ここまで見てきたように、特定技能と技能実習の選択は「どちらが優れているか」ではなく、施設の採用計画・教育体制・夜勤体制・定着リスクの考え方によって変わります。
特に、次のような状況では、制度だけを比較しても判断しきれない場合があります。
- 欠員補充を急ぎたいが、長期定着も重視したい
- 技能実習から特定技能への切り替えも視野に入れたい
- 訪問介護での受け入れ条件を確認したい
- 人員配置基準や夜勤投入の考え方を、自施設の体制に当てはめて確認したい
FUJI CAREでは、採用時期・必要人数・夜勤体制・受け入れ後の支援範囲を整理したうえで、特定技能を軸にするべきか、技能実習から始めるべきかをご提案できます。
制度選択の段階でも、お気軽にご相談ください。
[制度選択について相談する(FUJI CARE)](https://fuji-careworks.jp/contact)
診断結果:技能実習(FUJI Human Care)が向いている施設
こんな施設に向いています
- 長期的な人材育成の観点から外国人材を活用したい
- 転職リスクを最小化して、安定した雇用関係を構築したい
- 段階的に業務を覚えさせたい(いきなり夜勤・単独業務は想定していない)
- 千葉県・関東圏でコツコツと人材を育てていきたい
技能実習の採用で気をつけること
技能実習は「転籍制限」という施設側にとってのメリットがある一方、採用リードタイムが長く、初期の教育・指導体制を整える必要があります。
人員配置基準への算入は、2024年度介護報酬改定後、6ヶ月未満でも一定条件のもとで可能となる場合がありますが、本人の日本語能力・ケアの習熟度・施設の指導体制を踏まえた判断が必要です。
また、受け入れ施設には一定の要件(設立3年以上、決算書の提出など)があります。
技能実習の受け入れには「監理団体」との契約が必須です。
監理団体の質は受け入れ後の支援の厚さに直結するため、選定が重要です。
FUJI Human Care Service協同組合は、介護・医療職種に特化した監理団体として2016年に設立され、約30年の介護施設運営ノウハウを背景に支援を行っています。
アセッサー資格を持つスタッフが在籍しており、技能評価試験のサポートまで一体的に提供できる点が特徴です。
実習生の受け入れ前に、実際の介護現場での様子を見学できるツアーも提供しています(松戸・我孫子の施設、平日のみ)。
技能実習の受け入れを検討している施設は、まずFUJI Human Careにお問い合わせください。
[FUJI Human Care 技能実習に関するお問い合わせはこちら](https://www.fuji-humancare.jp/)
4.【長期雇用を見据えた有力パターン】技能実習3年→特定技能5年の一貫パイプライン
「技能実習も特定技能も両方検討したい」「せっかく3年育てた人材を、そのまま長く雇い続けたい」という施設に向いているのが、技能実習から特定技能への移行ルートです。
なぜ「8年雇用」が可能になるのか
技能実習2号を2年10ヶ月以上、良好に修了した外国人材は、特定技能1号への移行時に技能試験・日本語試験の両方が免除されます(出入国在留管理庁・厚生労働省の制度による)。
この免除措置を使うことで、施設側は改めて試験合格者を採用し直す必要がなく、3年間かけて育てた人材をそのまま特定技能として継続雇用できます。
移行時には在留資格変更申請が必要で、審査には1〜3ヶ月かかります。
この期間は就労ができないため、スケジュール管理が重要です。
技能実習1号・2号(計3年)
↓
在留資格変更申請(審査:1〜3ヶ月)
↓
特定技能1号(最長5年)
↓
介護福祉士取得 → 在留資格「介護」へ移行(家族帯同も可能に)
= 実質8年以上の継続雇用が可能

技能実習3年から特定技能5年へつなぐ一貫パイプライン
特定技能5年の満了後、介護福祉士を取得して在留資格「介護」へ移行すれば、在留期間の上限がなくなり、家族帯同も認められるようになります。
長く日本で働くことを希望する外国人材にとっても、施設にとっても、最も安定した雇用継続の形です。
FUJI CAREとFUJI Human Careの連携活用
技能実習での受け入れをFUJI Human Careで始めた施設が、修了後の特定技能への切り替えを検討する際には、FUJI CAREに相談することができます。
技能実習での支援内容・人材特性を踏まえたうえで、特定技能としての雇用継続をスムーズに進めるサポートを提供しています。
「最初から8年を見据えた採用設計をしたい」という施設には、2社への同時相談という選択肢もあります。
まずはFUJI CAREまでお問い合わせいただければ、状況に合わせて対応方法をご案内します。
まとめ.迷ったらまずは相談を
特定技能と技能実習の違いを整理すると、選択の軸は大きく3つです。
| 判断軸 | 特定技能が向いている | 技能実習が向いている |
| 採用リードタイム | 早く採用したい(1〜6ヶ月) | 時間をかけて選考したい(6〜12ヶ月) |
| 転職リスク | 即戦力優先・リスク分散できる | 転職リスクを最小化したい |
| 就労範囲 | 早期に人員配置・夜勤体制へ組み込みたい | 段階的に業務を広げたい |
どちらが「正解」かは施設の状況によって異なります。
ただ、一つ確かなことがあります。
技能実習から始めて特定技能へ移行する一貫パイプラインは、採用コストと育成コストの両面で効率的であり、外国人材にとっても長期キャリアが描ける選択肢です。
「うちの施設はどちらが向いているかわからない」「費用感を知ってから判断したい」という段階でも、相談は歓迎しています。
FUJI CAREは特定技能介護の人材紹介・登録支援に注力しており、インドネシア人材の紹介から入国後の生活支援まで一括で対応しています。
まずは現状をお聞かせください。
施設の状況に合わせて、最適な採用ルートをご提案します。
[お問い合わせ・ご相談はこちら(FUJI CARE)](https://fuji-careworks.jp/contact)



