0.はじめに
外国人介護人材を採用するとき、施設側が本当に知りたいのは「採用できるか」だけではありません。
採用した人材が、現場に慣れ、職員や利用者と関係を作り、長く働き続けられるか。
ここまで考えなければ、採用費用や教育工数を回収できません。
外国人介護人材の定着には、日本語力、生活支援、現場職員の関わり方、相談窓口、キャリアパスが関係します。
どれか1つだけ整えても不十分です。
この記事では、外国人介護人材が定着しやすい施設の共通点と、介護施設が整えるべき支援体制を解説します。
1.外国人介護人材の定着は、採用後ではなく採用前から決まる
外国人介護人材の定着は、配属後の本人任せではありません。
採用前の説明、面接時の期待値調整、配属前の生活準備、現場職員への説明、配属後の面談、困りごとの相談体制まで、採用前から一貫して設計する必要があります。
| フェーズ | 定着に影響すること |
| 採用前 | 業務内容、勤務形態、給与、生活環境の説明 |
| 配属前 | 住居、行政手続き、銀行、携帯、日本語支援 |
| 配属直後 | 教育担当者、相談窓口、職員への説明 |
| 配属後 | 定期面談、記録・申し送り支援、生活相談 |
| 中長期 | 資格取得、キャリアパス、特定技能更新・在留資格相談 |
「来てもらってから考える」では遅く、受け入れ前から支援体制を整えることが定着の前提になります。
2.定着する施設の共通点1
仕事内容と期待値を事前にすり合わせている
外国人介護人材の離職や不満は、仕事内容そのものよりも、事前説明とのズレから起きることがあります。
たとえば、夜勤の有無、身体介助の範囲、記録業務、利用者との会話、シフト、残業、休日、職員間の役割分担などです。
採用前に、次の点を具体的に説明しておく必要があります。
- どの施設・部署で働くか
- どの業務から始めるか
- 夜勤に入る可能性があるか
- 日本語でどの程度の記録・申し送りが必要か
- 利用者や家族との関わり方
- 困ったときに誰へ相談するか
良いことだけを伝えるよりも、現場で大変な点も含めて説明した方が、入職後のギャップを減らせます。
3.定着する施設の共通点2
日本語支援を現場任せにしていない
当社が2024年10月に実施した介護施設向けアンケート調査(N=1,143)では、外国人介護人材の受け入れ検討時の課題として「日本語のコミュニケーション能力に不安」が56.8%で最多でした。

出典:介護施設向けアンケート調査(当社実施・2024年10月・N=1,143 / 複数回答) ※調査対象:介護・福祉業界にお勤めの方
外国人材本人が日本語を学ぶことはもちろん重要です。
ただし、施設側が「本人が努力すればよい」と考えるだけでは、現場の問題は解決しません。
介護現場では、日常会話よりも、次のような業務日本語が定着に影響します。
| 場面 | 支援すべき日本語 |
| 利用者対応 | 安心してもらう声かけ、拒否があるときの伝え方 |
| 申し送り | 状態変化、食事量、排泄、転倒リスクの報告 |
| 介護記録 | 事実、観察、対応を分けて書く力 |
| 緊急時 | すぐ報告すべき状態と伝え方 |
| 職員間の確認 | 分からないときに聞き返す表現 |
定着する施設は、日本語支援を本人任せ・現場任せにせず、教育担当者や外部支援を使って仕組みにしています。
4.定着する施設の共通点3
外国人介護人材の定着には、生活面の安定が欠かせません。
住居、銀行口座、携帯電話、市役所手続き、通院、買い物、地域ルール、宗教・食事の配慮などで困りごとが続くと、仕事への集中にも影響します。
施設側がすべてを担う必要はありません。しかし、誰がどこまで支援するかを決めていないと、困りごとが現場職員に集中しやすくなります。
| 支援項目 | 確認すべきこと |
| 住居 | 契約、初期備品、通勤経路、近隣ルール |
| 行政手続き | 転入届、マイナンバー、保険関連 |
| 銀行・携帯 | 契約時の同行、本人への説明 |
| 通院 | 体調不良時の相談先、同行・通訳可否 |
| 生活ルール | ゴミ出し、騒音、地域での注意点 |
生活支援の範囲を登録支援機関や監理団体と分担できると、施設側の負担を抑えながら本人の不安も減らせます。
5.定着する施設の共通点4
現場職員に「受け入れ方」を説明している
外国人介護人材の定着には、本人への支援だけでなく、一緒に働く職員への説明も必要です。
現場職員が制度や支援方針を知らないまま受け入れると、次のようなズレが起きやすくなります。
- どこまで教えればよいか分からない
- 日本語が通じない場面で感情的になってしまう
- 注意の仕方が強くなりすぎる
- 生活相談まで現場で抱え込んでしまう
- 本人の文化・宗教・習慣を誤解する
受け入れ前には、現場職員向けに次の内容を共有しておくとよいでしょう。
| 説明する内容 | 目的 |
| 在留資格と業務範囲 | 任せられる仕事・注意点を理解する |
| 日本語支援の方針 | 伝え方・聞き返し方をそろえる |
| 教育ステップ | どの業務をいつ任せるかを共有する |
| 相談窓口 | 現場が抱え込まないようにする |
| 文化・生活面の配慮 | 不要な摩擦を防ぐ |
6.定着する施設の共通点5
相談窓口が複数ある
外国人介護人材が離職を考える前には、小さな不安や不満が積み重なっていることがあります。
ところが、本人が施設に直接言いにくい悩みもあります。
給与やシフト、人間関係、生活、体調、母国の家族、将来の在留資格などです。
定着する施設では、相談先を1つに絞らず、複数の窓口を用意しています。
| 相談先 | 役割 |
| 現場教育担当 | 業務・介護技術・記録・申し送り |
| 施設管理者 | 勤務条件、配属、評価 |
| 生活支援担当 | 住居、行政手続き、通院、日常生活 |
| 登録支援機関 | 本人が施設に言いにくい悩みの相談 |
| 通訳・母語相談 | 日本語で説明しにくい内容の整理 |
相談先が複数あると、問題が大きくなる前に拾いやすくなります。
7.定着する施設の共通点6
資格取得とキャリアパスを見せている
外国人介護人材に長く働いてもらうには、目の前の仕事だけでなく、将来の見通しを示すことが重要です。
当社調査(n=598・外国人介護人材の受け入れ経験・予定がある施設)では、外国人介護人材の定着における課題として「介護福祉士試験の勉強方法について」が48.7%で最多でした。

出典:介護施設向けアンケート調査(当社実施・2024年10月・n=598 / 外国人介護人材の受け入れ経験・予定がある施設、複数回答)
介護福祉士取得、特定技能の更新、在留資格「介護」への移行など、本人が将来を描けるほど、定着しやすくなります。
施設側は、次のような支援を検討しましょう。
- 介護福祉士試験に向けた学習時間の確保
- 日本語・介護用語の学習支援
- 先輩外国人職員との交流
- 面談でのキャリア希望確認
- 在留資格や更新時期の早期確認
本人の努力だけにせず、施設側が学習しやすい環境を整えることが大切です。
8.定着する施設の共通点7
支援を外部に任せる部分と施設で担う部分を分けている
外国人介護人材の定着支援は、施設だけで抱えると続きません。
一方で、すべてを外部に任せても、現場での教育や関係づくりは進みません。
定着する施設は、施設で担う部分と、登録支援機関・監理団体に任せる部分を分けています。

| 領域 | 施設側が担うこと | 外部支援を活用しやすいこと |
| 業務教育 | 介護技術、利用者対応、施設ルール | 教育計画の相談、記録・申し送り支援 |
| 日本語 | 現場での声かけ、確認方法 | 日本語学習、通訳、介護用語支援 |
| 生活 | 勤務に関わる配慮 | 住居、行政、銀行、通院同行 |
| 相談 | 職場内の面談 | 母語相談、第三者相談窓口 |
| キャリア | 評価、配置、資格取得支援 | 在留資格、特定技能更新、学習計画相談 |
この分担が明確だと、支援が属人化しにくくなります。
9.FUJI CAREの定着支援で相談できること
FUJI CAREは、特定技能「介護」の人材紹介・登録支援を中心に、外国人介護人材の受け入れを支援しています。
登録支援では、銀行口座開設、市役所手続き、引越し手続き、日本語支援、相談対応など、生活と就労の両面を支える項目が重要になります。
また、インドネシア語通訳同行、介護現場の運営知見、シフト作成・業務分担の相談、配属後のフォローなど、採用後の定着を見据えた支援も相談できます。
外国人介護人材の定着に不安がある場合は、次の内容を整理してご相談ください。
- 採用予定人数と時期
- 受け入れ経験の有無
- 施設種別と勤務体制
- 日本語・記録・申し送りで不安な点
- 生活支援をどこまで外部に任せたいか
- 現場職員への説明で困っている点
- 既存の外国人職員の定着課題
定着支援は、採用後のトラブル対応ではなく、採用前からの設計が重要です。
10.まとめ
外国人介護人材が定着する施設には、共通点があります。
採用前に仕事内容と期待値をすり合わせ、日本語支援を現場任せにせず、生活支援の責任範囲を明確にし、現場職員へ受け入れ方を説明し、相談窓口を複数用意し、資格取得とキャリアパスを示しています。
採用できるかどうかだけでなく、採用した人材が安心して働き続けられるかまで設計することが、介護施設にとっての採用投資を守ることにつながります。
外国人介護人材の定着支援を見直したい介護施設様は、FUJI CAREへご相談ください。
採用前の受け入れ体制整理から、配属後の生活支援・日本語支援・相談体制まで、一緒に設計できます。
この記事に関連するページ
参考情報
- 厚生労働省「外国人介護人材の受入れについて」
- 厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」
- 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」
執筆・監修:株式会社FUJI CARE 千葉県松戸市を拠点に、特定技能「介護」分野の人材紹介・義務的支援を中心に提供。



