0.はじめに

介護施設で求人を出しても必要な人員を確保しにくいとき、外国人材の採用は検討できる選択肢の一つです。ただし、採用だけで人手不足が解消するとは限りません。欠員が出ている業務や時間帯、採用後の教育体制、勤務条件を整理し、自施設で受け入れられるかを先に確認しましょう。

1.まず結論

外国人材の採用を進めるかは、「不足している仕事と時間帯」「任せる業務」「教育・相談の担当者」「採用時期と費用」を整理して判断します。受入れ体制を作る時間がない場合は、採用時期を調整するか、他の人材確保策と並行して準備することも検討してください。

  • 欠員数だけでなく、不足する業務・曜日・時間帯を記録する
  • 外国人材に任せる仕事と、教育・相談の担当を決める
  • 制度・手続き・支援範囲・費用を確認し、無理のない時期を選ぶ

2.まず不足している仕事と時間帯を特定する

人手不足対策を選ぶ前に、「どの職種が何人足りないか」だけでなく、現場のどの業務で支障が生じているかを確認しましょう。募集の反応、退職、勤務表、残業、休暇取得、業務の偏りを並べると、採用が必要な課題と職場内で見直せる課題を分けやすくなります。

確認すること 記録例
不足が起きる時間帯 早番・遅番・夜勤・週末など
影響が出ている業務 食事・排泄・移乗・記録・申し送りなど
不足が続く理由 応募不足、採用後の離職、勤務条件、教育の負担など
必要な変化 欠員補充、勤務の平準化、特定業務の分担など

原因によっては、採用だけでなく、業務手順の整理、勤務の組み直し、職員の定着支援なども必要になります。

3.人材確保策を並べ、外国人材採用の役割を決める

外国人材採用を単独の解決策とせず、既存職員の定着、求人条件、勤務設計、業務の見直しなどと並べて検討してください。どの対策が有効かは、施設の課題と実行できる体制によって異なります。

対策の方向 向いている課題の例 事前に確認すること
求人・採用条件の見直し 応募が少ない、採用競争が強い 勤務時間、休日、賃金、求人情報の具体性
定着・職場環境の改善 採用しても離職が続く 相談体制、教育、職員間の連携、負担の偏り
業務や勤務の再設計 特定の時間帯・業務に負荷が集中 業務分担、記録手順、シフト、ICT等の利用状況
外国人材の採用 継続した人員確保を検討し、受入れ準備ができる 担当業務、教育担当、在留制度、支援の分担

複数の対策を同時に始める必要がある場合は、担当者と期限を決めます。「外国人材を何人採用するか」だけでなく、「採用後にどの業務を担い、現場の何が変わるか」を説明できる状態が判断の出発点です。

4.外国人材に任せる業務と受け入れ体制を点検する

採用を進める前に、任せる業務、指導する人、困ったときの相談先を決めましょう。人材を受け入れてから役割を考えると、本人・現場職員・支援担当者の間で期待のずれが起きやすくなります。

業務と勤務条件を具体化する

求人条件では、配属先、主な介護業務、勤務時間、休日、夜勤の予定、必要な日本語のやりとりを明確にします。候補者に伝える内容と、雇用契約書・労働条件通知書の条件が一致することも確認します。

現場の教育・相談担当を置く

業務の説明やOJTを誰が担うか決め、担当者不在時の相談先も用意します。記録や申し送りの方法は、施設で使う用語や手順を見せながら、理解を確認する機会を設けると進めやすくなります。

生活面と制度上の支援を分けて考える

特定技能1号で受け入れる場合、受入れ機関には支援計画に基づいて支援を行う役割があります。支援の全部または一部を登録支援機関へ委託する場合も、雇用主としての労務管理や施設内の業務教育がなくなるわけではありません。委託先と施設の担当範囲を契約前に確認してください。出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」

施設での受け入れ準備を項目ごとに確認したい場合は、外国人介護人材の受け入れ体制チェックリストも活用できます。

5.在留制度と採用時期を確認する

外国人介護人材の受入れには複数の制度があり、対象者、受入れ要件、手続き、施設が担う内容が異なります。採用人数や時期を先に固定せず、希望する雇用期間や候補者の状況に合う制度を確認してください。

厚生労働省は、介護分野で外国人材を受け入れる制度として、EPA、在留資格「介護」、技能実習、特定技能を案内しています。制度ごとの対象や条件を確認し、最新の情報は公式資料で照合しましょう。厚生労働省「外国人介護人材の受入れについて」

採用時期を考えるときは、候補者の募集・面接だけでなく、雇用条件の調整、必要な申請、住居や生活準備、施設内の説明・教育にかかる時間も見込む必要があります。具体的な手続きや制度の選び方は、外国人介護人材の受け入れ完全ガイドと特定技能「介護」と技能実習の比較で確認できます。

6.費用と外部支援の範囲を見積もる

採用費用は、紹介料だけでは決まりません。紹介、在留手続き、登録支援、住居、渡航、教育など、施設の状況や契約内容によって発生する項目を分けて見積もります。

費用・支援項目 確認すること
人材紹介 成功報酬の計算方法、支払時期、返金条件
在留関連の手続き 誰が対応するか、別料金か、専門家へ依頼するか
登録支援 月額費用、委託する支援、施設が継続して行う業務
住居・生活準備 初期費用や家具、契約、移動を誰が手配・負担するか
教育・現場準備 指導担当者の時間、教材、申し送りや記録の説明

金額が確定していない段階では、複数の費用項目を分けて見積もり、契約範囲と照合します。登録支援費用の見方は特定技能「介護」の支援費用を整理した記事も参考になります。

7.採用を進めるか、準備を優先するか判断する

採用の可否は、採用の必要性と受け入れ準備の両方を見て決めます。以下の項目が具体化しているかを確認し、未決のものは誰がいつまでに決めるかを置きましょう。

判断軸 進める前に答えたい質問
採用目的 どの業務・時間帯の不足に対応するのか
人数・時期 いつまでに、何人の採用が必要か。段階的な採用も可能か
業務設計 担当業務、勤務条件、必要な日本語の場面を説明できるか
教育・相談 現場の教育担当者と、本人の相談窓口が決まっているか
支援の分担 施設・紹介会社・登録支援機関・専門家の担当が整理されているか
費用 初期費用・月額費用・追加費用を見積もれているか
職場内の共有 現場職員へ受入れ目的や担当業務を説明する機会があるか

準備に不足があっても、直ちに採用を諦める必要はありません。業務の整理や担当者の確保を先に行い、準備できる時期に合わせて採用計画を組み直す方法があります。

8.FUJI CAREへ相談する前にそろえる情報

株式会社FUJI CAREは、特定技能「介護」の人材紹介と登録支援を中心に提供しています。採用相談では、施設の不足状況や受入れ条件を一緒に整理し、紹介と支援の担当範囲を確認できます。

相談前に、次の情報を分かる範囲でまとめてください。

  • 不足している業務・時間帯と、採用の目的
  • 採用希望人数と時期
  • 配属先、勤務条件、任せたい業務
  • 外国人材の受入れ経験
  • 教育担当者と本人の相談窓口
  • 施設で担う支援と外部へ委託したい支援
  • 予算や契約で事前に確認したい点

情報がまだ揃っていない場合は、そのまま相談し、何をいつ決めるかを整理することもできます。外国人介護人材の受け入れ相談から、採用時期や施設の条件に応じた確認事項をご相談ください。

9.よくある質問

外国人材を採用すれば、人手不足は解消しますか?

採用だけで人手不足の解消を保証することはできません。採用目的、担当業務、教育体制、定着支援、勤務設計を組み合わせ、自施設で必要な変化を確認してください。

介護施設はどの制度で外国人材を受け入れられますか?

介護分野には複数の受入れ制度があり、対象者や条件が異なります。希望する雇用期間や候補者の状況に合わせ、厚生労働省などの最新の公式案内と専門家の説明を確認してください。

初めての受け入れでは何を先に決めればよいですか?

任せる業務、勤務条件、教育担当者、相談窓口、施設と外部機関の担当範囲を決めます。候補者探しと並行する場合も、配属までに準備を終える担当者と期限を置きましょう。

費用はどこに確認すればよいですか?

紹介会社や登録支援機関へ、紹介料、支援委託費、在留手続き、住居などの費用を分けた見積もりを依頼します。返金条件や追加費用の発生条件も契約書面で確認してください。

10.まとめ

介護施設の人手不足対策として外国人材採用を検討する際は、まず不足している業務と時間帯を整理します。そのうえで、他の人材確保策と比べ、任せる業務、教育担当、支援分担、費用、採用時期を確認しましょう。

受入れ準備を具体化できれば、採用相談で確認すべきことも明確になります。採用の必要性と現場の体制を並べて検討し、無理のない時期と進め方を選んでください。

11.参考情報

執筆:株式会社FUJI CARE