0.はじめに
特定技能「介護」の採用を検討するとき、施設側からよく出る疑問が「何人まで受け入れられるのか」です。
結論からいうと、介護分野の1号特定技能外国人は、事業所単位で、日本人等の常勤介護職員の総数が上限とされています。
ただし、これは「制度上の最大値」です。
実務上は、配置基準、教育担当者、日本語支援、夜勤投入のタイミング、生活支援の体制まで見たうえで、無理のない人数から始める必要があります。
この記事では、介護施設の施設長・採用担当者向けに、特定技能「介護」の受け入れ人数を考えるときの基本を整理します。
1.制度上は「事業所単位」で常勤介護職員数が上限になる
厚生労働省の介護分野における特定技能の運用方針では、事業所で受け入れることができる1号特定技能外国人について、事業所単位で日本人等の常勤介護職員の総数を上限とする旨が示されています。
ここで重要なのは、法人全体ではなく事業所単位で見る点です。
たとえば、法人全体で複数施設を運営している場合でも、A施設の人数枠をB施設にそのまま回せるわけではありません。
実際に就労する事業所ごとに、常勤介護職員数、配置体制、教育体制を確認します。
また、上限いっぱいまで採用すればよい、という意味でもありません。
制度上の枠と、現場が無理なく受け入れられる人数は分けて考える必要があります。
2.まず確認したい3つの人数
受け入れ人数を考えるときは、いきなり「何人採用するか」から入るのではなく、次の3つを分けて確認します。
| 確認する人数 | 見る理由 |
| 常勤介護職員数 | 制度上の上限を確認するため |
| 現在の欠員数・採用予定数 | 本当に必要な採用人数を整理するため |
| 教育・フォローできる人数 | 受け入れ後の定着可能性を見るため |
たとえば常勤介護職員数から見た制度上の余地があっても、教育担当者が1名しかいない場合、初回から多人数を受け入れると現場負担が急に増えます。
逆に、既に技能実習生や外国人職員の受け入れ経験があり、生活支援・日本語支援・相談窓口が整っている施設では、段階的に人数を増やしやすくなります。
3.「採用できる人数」と「定着する人数」は違う
特定技能人材の採用では、採用人数だけを追うと失敗しやすくなります。
施設側が見るべきなのは、次のような実務上の受け入れ余力です。
- 初日のオリエンテーションを誰が行うか
- 業務手順をどの言語・どの粒度で説明するか
- 介護記録、申し送り、服薬確認などの日本語理解をどう確認するか
- 生活面の相談を誰が受けるか
- 夜勤や早番・遅番に入るまでの段階をどう設計するか
- 急な体調不良、欠勤、利用者トラブル時に誰がフォローするか
制度上受け入れられる人数が多くても、これらの体制が追いつかなければ、現場の不安や本人の孤立につながります。
そのため、初めて特定技能「介護」を受け入れる施設では、まず少人数から始め、教育手順と相談体制を作ってから追加採用を検討する進め方が現実的です。
4.受け入れ人数を決める実務ステップ
特定技能「介護」の受け入れ人数は、次の順番で検討すると整理しやすくなります。

| 手順 | 内容 |
| 1. 事業所単位の常勤介護職員数を確認 | 制度上の上限を把握する |
| 2. 採用目的を明確にする | 欠員補充か、今後の増床・体制強化かを分ける |
| 3. 勤務シフトへの入れ方を想定する | 日勤から始めるのか、将来的に夜勤も想定するのかを確認する |
| 4. 教育担当者を決める | 業務指導、日本語面、生活面の相談窓口を分ける |
| 5. 初回人数を決める | 現場が無理なく支援できる人数から始める |
| 6. 追加採用の条件を決める | 何か月後、どの状態なら追加できるかを事前に決める |
この流れにすると、単なる「人数枠」の話ではなく、受け入れ後の現場運用まで含めた採用計画になります。
5.受け入れ人数を増やす前に確認すべき現場体制
人数を増やす前には、次の項目を確認しておくと安心です。
| 確認項目 | 見るポイント |
| 日本語支援 | 介護記録、申し送り、利用者対応の理解をどう確認するか |
| 生活支援 | 住居、銀行口座、携帯電話、市役所手続きなどの支援体制 |
| 相談窓口 | 本人が困ったときに母語またはやさしい日本語で相談できるか |
| 現場説明 | 既存職員に制度・文化・支援方針を説明しているか |
| 緊急対応 | 事故、体調不良、欠勤、利用者トラブル時の連絡体制 |
| キャリア設計 | 介護福祉士取得や長期就労への道筋を説明できるか |
特定技能「介護」は、単に人員を補う制度ではありません。
受け入れ後に本人が安心して働き、施設側も安定して任せられる状態を作ることが重要です。
6.人数を増やすタイミングの考え方
初回受け入れ後に追加採用を検討する場合は、一定期間の運用を見てから判断するのが安全です。
たとえば、配属から数か月のあいだに、次の状態が確認できているかを見ます。
- 本人が日勤帯の基本業務を理解している
- 申し送りや記録で大きな支障が出ていない
- 既存職員が指導方法に慣れてきている
- 生活面の相談窓口が機能している
- 遅刻、欠勤、体調不良時の連絡ルールが共有されている
- 利用者・家族への説明で大きな混乱が起きていない
これらが整っていない段階で人数を増やすと、教育担当者や現場リーダーの負担が急に増える可能性があります。
逆に、初回受け入れで業務説明、生活支援、相談対応の型ができていれば、2人目以降の受け入れは進めやすくなります。
追加採用を検討するときは、制度上の枠だけでなく、初回受け入れで得た現場の学びを反映させることが大切です。
7.夜勤や複数シフトに入る前の注意点
特定技能「介護」の人材を将来的に夜勤や複数シフトへ広げたい場合も、最初から同じ水準で任せるのではなく、段階を分けて考えます。
夜勤では、少人数で判断する場面が増えます。
利用者の急変、転倒、服薬、家族連絡、記録、申し送りなど、日勤以上に日本語理解と緊急対応が問われます。
そのため、夜勤投入を検討する前には、次のような確認が必要です。
| 確認項目 | 見るポイント |
| 緊急時の日本語 | 体調変化、事故、服薬、家族連絡を正しく伝えられるか |
| 判断の範囲 | 本人が判断してよいこと、必ず相談することが明確か |
| 同行・見習い期間 | いきなり単独にせず、段階的に慣れる設計があるか |
| 夜勤責任者との連携 | 困ったときにすぐ相談できる体制があるか |
受け入れ人数を増やす場合も、夜勤に入れる場合も、現場側の準備が先です。
採用計画と教育計画をセットで作ることで、本人にも施設にも無理のない受け入れになりやすくなります。
8.FUJI CAREに相談する場合の進め方
FUJI CAREでは、特定技能「介護」の人材紹介・登録支援を中心に、介護施設側の採用計画づくりを支援しています。
受け入れ人数を検討する段階では、次のような内容を整理しておくと相談がスムーズです。
- 事業所ごとの常勤介護職員数
- 現在の欠員数と採用したい人数
- 受け入れ希望時期
- 日勤・夜勤など想定する勤務形態
- 外国人材の受け入れ経験の有無
- 日本語支援・生活支援で不安な点
- 訪問・オンライン相談の希望
特に初めて受け入れる施設では、制度上の上限だけでなく「何人から始めると現場に無理がないか」を一緒に確認することが大切です。
9.まとめ
特定技能「介護」の受け入れ人数は、制度上は事業所単位で日本人等の常勤介護職員の総数が上限です。
ただし、実際の採用計画では、上限だけで判断せず、教育担当者、日本語支援、生活支援、勤務シフト、緊急時対応まで含めて考える必要があります。
まずは事業所ごとの常勤介護職員数と現場の受け入れ体制を整理し、少人数から段階的に進めるのが現実的です。
関東エリアで特定技能「介護」の受け入れを検討している場合は、FUJI CAREへご相談ください。制度上の人数枠だけでなく、現場に合った受け入れ人数と採用計画を一緒に整理できます。
この記事に関連するページ
参考情報
- 厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」
- 厚生労働省「介護分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針」
- 厚生労働省「外国人介護人材の受入れについて」
執筆・監修:株式会社FUJI CARE 千葉県松戸市を拠点に、特定技能「介護」分野の人材紹介・義務的支援を中心に提供。



