• 特定技能外国人が訪問介護で働けるようになった制度変更の概要
  • 受け入れに必要な人材側・事業所側の要件
  • 研修、同行、意向確認、相談窓口、緊急時対応体制のポイント
  • 受け入れ前に確認すべき手続きと書類
  • 訪問介護事業所が登録支援機関へ相談すべきタイミング

本記事は2026年6月19日時点の厚生労働省・出入国在留管理庁の公表情報に基づきます。
訪問系サービスでの受け入れは、要件・提出書類・個別事情によって扱いが変わる場合があります。
公開前および実際の受け入れ前には、最新の公式情報と専門家確認をおすすめします。

0.はじめに

特定技能外国人は訪問介護でも受け入れ可能になった

2025年4月21日から、一定の条件を満たす特定技能外国人について、訪問介護等の訪問系サービスへの従事が認められるようになりました。
これまで、特定技能「介護」は施設系サービスを中心に運用され、訪問介護では受け入れに制限がありました。
理由は、訪問介護が利用者様の居宅で1対1のサービス提供になりやすく、緊急時対応、ハラスメント防止、利用者・家族への説明、本人の意向確認など、施設内勤務より慎重な体制整備が必要になるためです。
今回の制度変更により、訪問介護事業所でも外国人介護人材を受け入れる選択肢が広がりました。
ただし、「特定技能なら誰でもすぐ単独訪問できる」という意味ではありません。
人材側の経験・研修と、事業所側の受け入れ体制の両方が必要です。

1.対象になる訪問系サービス

厚生労働省の公表情報では、訪問介護等の訪問系サービスが対象とされています。
主な対象として、訪問介護、訪問入浴介護、夜間対応型訪問介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、介護予防・日常生活支援総合事業の訪問型サービスなどが挙げられます。
ただし、対象サービスの詳細や障害福祉サービス等での取り扱いは、通知・Q&A・対象施設一覧で確認が必要です。
自社のサービス種別が対象に入るかどうかは、受け入れ前に必ず確認してください。

2.人材側の主な要件

訪問介護に従事する特定技能外国人には、通常の特定技能「介護」の要件に加えて、訪問系サービスに必要な条件があります。

要件内容
在留資格特定技能「介護」として適切に就労できること
研修介護職員初任者研修課程等を修了していること
実務経験介護事業所等での実務経験があること。厚生労働省は1年以上を原則としている
本人の意向訪問介護等の業務内容を理解し、本人の意向を確認していること
キャリア形成キャリアアップ計画を作成し、継続的に確認すること

ここで重要なのは、実務経験と本人の意向確認です。
訪問介護は、施設内勤務と比べて一人で判断する場面が増えます。
日本語力、利用者様との関係づくり、報告・連絡・相談、緊急時の対応などを、事前に見極める必要があります。

3.受け入れ事業所側の5つの遵守事項

厚生労働省は、受け入れ事業所が守るべき事項として、次の5つを示しています。

  1. 訪問介護等の業務の基本事項に関する研修を行うこと
  2. 一定期間、責任者等が同行するなど、必要な訓練を行うこと
  3. 業務内容を丁寧に説明し、本人の意向等を確認しながらキャリアアップ計画を作成すること
  4. ハラスメント防止のための相談窓口設置など、必要な措置を講じること
  5. 不測の事態に適切に対応できるよう、ICT活用を含めた環境整備を行うこと

この5つは、形式的に書類をそろえるだけでは不十分です。
訪問介護の現場で本当に機能する運用に落とし込む必要があります。
たとえば、同行訓練では「何回同行したか」だけでなく、利用者様ごとの注意点、サービス提供責任者への報告方法、緊急時の連絡手順、ハラスメントや不安を感じた場合の相談ルートまで確認する必要があります。

4.事前提出と定期報告が必要

訪問系サービスで外国人介護人材を受け入れる場合、受け入れ事業所は、5つの遵守事項を適切に履行できる体制・計画等を有することについて、巡回訪問等実施機関へ必要書類を提出する必要があります。

また、適合確認書の発行を受けた後も終わりではありません。
外国人介護人材ごとにキャリアアップ計画を作成し、評価期間が終わるたびに次の計画を作成します。
厚生労働省は、前回の評価期間の終期から4か月以内に定期報告を提出する必要があるとしています。

つまり、訪問介護での受け入れは「採用して終わり」ではなく、継続管理型の運用です。
登録支援機関、サービス提供責任者、管理者、現場職員が連携し、本人の状況と事業所の体制を継続して見直す必要があります。

5.受け入れ前の実務チェックリスト

訪問介護事業所が特定技能外国人の受け入れを検討する場合、少なくとも次の項目を確認してください。

確認項目チェック内容
サービス種別自社サービスが対象となる訪問系サービスに該当するか
人材要件初任者研修等の修了、実務経験、日本語力、本人の意向
研修体制訪問介護の基本事項、記録、接遇、緊急時対応を教えられるか
同行体制責任者等が一定期間同行し、判断基準を共有できるか
利用者説明利用者・家族へ事前説明する運用があるか
相談窓口ハラスメント・不安・トラブル時の相談先が明確か
ICT環境緊急時連絡、位置情報、記録、報告の仕組みがあるか
書類対応事前提出、キャリアアップ計画、定期報告の担当者が決まっているか

このチェックリストに空欄が多い場合、すぐに受け入れを進めるのではなく、体制づくりから始める方が安全です。

6.よくある誤解

誤解1: 2025年以降は、特定技能なら誰でも訪問介護に入れる

これは誤りです。
訪問介護等に従事できるのは、一定の研修・実務経験等を満たし、受け入れ事業所が遵守事項を履行できる場合です。

誤解2: 同行研修を数回すれば十分

同行は回数だけでは判断できません。
利用者様ごとの対応、緊急時判断、記録、サービス提供責任者への報告、本人の不安の有無まで確認する必要があります。

誤解3: 書類提出は最初だけでよい

事前提出に加えて、キャリアアップ計画と定期報告が必要です。
訪問介護での受け入れは、継続的な管理が前提です。

誤解4: 技能実習は訪問介護に従事できない

2025年の改正では、特定技能だけでなく、一定条件を満たす技能実習生についても訪問介護等訪問系サービスへの従事が認められています。
ただし、本記事はFUJI CAREの対象領域である特定技能「介護」を中心に解説しています。
技能実習での扱いは、監理団体と公式情報で別途確認してください。

7.FUJI CAREに相談できること

FUJI CAREは、特定技能「介護」の人材紹介・登録支援を中心に行っています。
訪問介護での受け入れを検討する場合、次のような段階から相談できます。

  • 自社の訪問系サービスが対象になるか確認したい
  • 特定技能外国人の実務経験や研修要件を確認したい
  • 受け入れ前の研修・同行・相談窓口の体制を整理したい
  • 登録支援機関へ委託する範囲を確認したい
  • 訪問介護に対応できる候補者を探したい

訪問介護での受け入れは、制度上の要件だけでなく、利用者様・家族への説明、現場職員の理解、緊急時対応の仕組みまで含めて設計する必要があります。

FUJI CAREでは、インドネシア語通訳同行、生活立ち上げ支援、日本語支援、介護現場の運営知見を活かし、受け入れ前後の不安を整理しながら支援します。訪問介護での特定技能受け入れを検討している事業所様は、早い段階でご相談ください。

8.まとめ

訪問介護の受け入れは「要件確認」と「現場運用」の両方が必要

2025年4月21日以降、特定技能外国人は一定条件のもとで訪問介護等の訪問系サービスに従事できるようになりました。

ただし、受け入れには、初任者研修等の修了、実務経験、研修、同行、本人の意向確認、キャリアアップ計画、相談窓口、ICT等の緊急時対応体制、事前提出・定期報告など、複数の準備が必要です。

制度を正しく理解しないまま進めると、利用者様・家族への説明不足、現場職員の負担増、本人の孤立、緊急時対応の不備につながる恐れがあります。

訪問介護で特定技能外国人の受け入れを検討している場合は、採用候補者を探す前に、自社の受け入れ体制と必要書類を整理することをおすすめします。

この記事に関連するページ

参考情報

  • 厚生労働省「外国人介護人材の訪問系サービスへの従事について」
  • https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_56271.html
  • 厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」
  • https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_000117702.html
  • 厚生労働省「外国人介護人材の受入れについて」
  • https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28131.html
  • 出入国在留管理庁「介護分野」
  • https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/nursingcare.html
  • 出入国在留管理庁「特定技能制度」
  • https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/index.html

執筆・監修:株式会社FUJI CARE 千葉県松戸市を拠点に、特定技能「介護」分野の人材紹介・義務的支援を中心に提供。