はじめに

導入

インドネシア新刑法を考察

「インドネシアで婚前交渉が罰則化される」——。
このニュースを耳にし、驚いた方や、「私生活まで制限されるのか?」と戸惑いを感じた方も多いはずです。

実は、弊社が支援する現場でも過去、「女性寮への異性連れ込み」という事案が発生しました。

日本人の感覚では「若者のプライベートな問題」と捉えられがちですが、厳格な倫理観を持つインドネシア人コミュニティにおいて、これは本人のキャリアや家族の信頼を揺るがす「大ごと」へと発展します。

こうしたトラブルの根底の一つに、送り出し国の「法律」や「宗教観」に対する、私たち日本側の理解不足が挙げられます。

価値観を正しく理解することでトラブルを未然に防ぎ、彼らと「真の信頼関係」を築く第一歩となります。

本記事では、一気通貫で現場をサポートする専門機関の視点から、今回の法改正が日本の介護現場にもたらす影響を紐解いていきます。

1.法改正の背景

ポイント

法改正の背景にある彼らの倫理観

2022年に可決されたインドネシアの新刑法において、婚前交渉や同棲の罰則化が報じられた際、多くの人々は「警察が私生活を監視するのか?」という恐怖を抱きました。しかし、実態は少し異なります。この法律の最大の特徴は「親告罪」である点です。
つまり、警察が独断で踏み込むことはできず、親、子、あるいは配偶者といった「直系親族」からの正式な訴えがない限り、処罰の対象にはなりません。

ではなぜ、わざわざ法律で縛る必要があるのか。そこには、日本人が想像する以上に重い「家族の規律」が存在します。

多くのインドネシア人にとって、結婚前の男女が適切な距離を保つことは、単なる宗教上のルールを超え、「家族の誇り」を守る行為だと考えられます。 もし未婚の男女が不適切な関係を持てば、それは本人だけの問題に留まらず、「親のしつけがなっていない」「一族の恥だ」として、家族全員がコミュニティでの居場所を失うことすらあります。

寮への異性連れ込みが発覚した際、彼らが激しく動揺したり、周囲が「大ごと」として騒ぎ立てたりするのは、彼らが「縛られている」からではなく、自分たちの守るべき聖域が汚されたと感じるからなのです。

もちろん信仰心は人によって様々ですが、弊社では面接段階で丁寧にヒアリングすることで、採用後の食い違いを極限までゼロに近付けるよう努めています。

2.トラブルを防ぐために

ポイント

トラブルが起きる前に

① 男子禁制はプライバシーの守護?

日本人にとって「男子禁制」は制限に聞こえますが、彼女らにとっては「異性の目を気にせず、ヒジャブを脱いでリラックスできる場所」と言い換えることもできます。
「この寮に男性を入れないのは、あなたを縛るためではなく、異国での生活を安心して送れるようにすための配慮なのだ」と理解してもらうよう努めます。

② 意外な盲点

盲点になりやすいのが、「日本人男性スタッフによる急な訪問」です。
事前の連絡なしに男性スタッフが女子寮に入ることは、彼女たちにとって「最も無防備な姿(ヒジャブを脱いでいる状態)を異性に晒される」という、極めてショッキングな事態を招きます。

そのため、

  • 必ず事前に時間を伝える
  • 可能な限り女性スタッフが同行する
  • 入室前にヒジャブを被る時間を設ける など

小さな配慮の積み重ねが、「この施設は自分たちの価値観を本当に大切にしてくれている」という深い信頼に繋がります。

③事前教育の大切さ
実際に起きた「連れ込み事案」の多くは、最初から悪意があったわけではなく、「少しくらいなら大丈夫だろう」という境界線の緩みから始まります。 だからこそ、最初のオリエンテーションで「この規律を乱すことは、あなた自身の誇りを汚すことと同じだ」と、彼らの倫理観に訴えかけることが、最も強力な抑止力になります。

3.支援の在り方

ポイント

人材ではなく、人財として

外国人材の受け入れにおいて、事務的な手続きのサポートだけでは、デリケートな私生活の問題や心の離職を防ぐことは困難です。
縁あって日本で働くことになった外国人に安心して働いてもらえるように、弊社は採用前後も徹底した支援に取り組んでいます。

支援のポイント

  • 一貫したサポート: 入国前から配属後まで、同じ担当者が「線」で寄り添うからこそ、昨日今日来た担当者には話せないセンシティブな悩みも拾い上げることができます。
  • 文化の「理解者」としての役割:弊社では外国人の文化や価値観を尊重し、企業と外国人双方が満足できる採用活動を行っています。そのため採用後に認識の齟齬を理由とする退職を極限まで減らすことができています。
  • リスク管理: 「日本で働くから日本のルールに従う」というよりも「なぜルールに従うのか」施設様が抱える雇用リスクを最小限に抑えます。

制度上の「管理」ではなく、一人の人間として「伴走」する。この小規模&一気通貫だからこそできる密な支援が、弊社が支援する施設様の未来を支える力になります。

当社の強み

 当社は、インドネシア人材の受け入れ支援を中心とした登録支援機関として、企業様と外国人材の双方が安心して働ける環境づくりを大切にしています。
 これまで当社がご紹介した外国人材の定着率は100%を維持しており、入国後の生活サポートや定期的なフォローを通じて、長期的に活躍できる環境づくりを支援しています。

 また、常駐通訳による迅速なサポート体制を整えており、体調不良や生活上のトラブルなど緊急時にも迅速に対応できる体制を構築しています。
 当社は小規模だからこそ実現できる丁寧な支援を大切にしており、一人ひとりの外国人材としっかり向き合い、それぞれの状況に応じたきめ細かなサポートを行っています。